マウンテンミー(山と私)が血肉を蹴散らしながら右往左往する話

京都のドンバ、マウンテンミーの日常と非日常をお送りします。

怒ってる音楽が好きだ。

怒ってる音楽が好きだ。

何か対象がある怒りでも、自分の不甲斐なさに対する怒りでもいい。 負の感情って、日常生活を送るうえでは不要にしかならないめちゃくちゃ厄介なものなんだけど、こと何か創作するってことになると、ものすごい強い武器になる。 特に音楽。それも、歌と歌詞を伴うものだと、そのまま言葉と声を介在して、聞いてる人の心を持ってく。 その負の感情が強ければ強いほど、たくさんの人の心を持ってく。もちろん歌ってる本人も例外じゃない。 本人から持ってかれた心が、他人の、その歌を聞いた人の心をぶん殴ってくる。 だから、その負の感情が本当であれば本当であるほどその歌は強いと思う。強度がある。 あくまで私的な思いでしかないけど、翻って肯定的な感情というものは、あまりに響かない。 嬉しい、楽しい、大好き。 そんなものはすっと入って来たことはない。 あと、感謝。 感謝ね、感情ですらないです。 それは、行為です。 親に感謝、友だちに感謝、地元に感謝…感謝感謝うっせえ。黙れ。 俺はお前の行為になぞ、一切興味がない。標語作りは行政の方に任せましょ?ね?あの人ら公務員だからさ。 じゃあ、聞くなって思うでしょ? でもね、無理なんです。 みなさんはコンビニって知ってるかな? あのね、24時間やっててね、食べ物から酒から煙草から何でも買えちゃうの。 現代の玉手箱かっつう。 そこ、当然行くじゃない。なぜなら便利だから。 そうするとね、かかってるじゃない。感謝の歌が。感謝歌が。サンキューソングが。 嫌でも耳に入ってくるの。 ぶん殴るんじゃなくて、そっとほっぺに触れてくるような、耳障りの良いだけな。 あれ?お前、サラリーマンみたいな自分の心圧し殺すような仕事につきたくなかったから、ミュージシャンになったんじゃないの? いやー。やっぱ自分の好きなことだけやっても、食えねえからさ、まあ、歌で稼げてるから別によくね? 知らねえよ。 お前は何ンティライミだ。何ブクロだ。 俺はな、お前の内臓の奥にあるもんが見てみたいの。感謝感謝のポジティブソングスで、胸焼けを起こさせないでくれ。 俺はお前の歌が大っ嫌いだ。 その、ボイトレ声と、カラオケみたいなファルセットと、あと顔と。それから麦わら帽子と短パン。ムカつく。ムカッ腹が立つ。どうしてくれんの、これ。 負の感情がないなら性交の歌でも歌えよ。どうせやることやってんだろ。 薄っちろい愛の言葉垂れ流すならお前の精液俺の耳にぶちまけろよ。せめて情欲くらいさらけ出せよ。 天城越えろよ。

昔、バンドやってる友だちに、「しんどいこととか悲しいことがあると曲ができるんよねえ」と話したことがある。 俺は、なんなら、そういうことがないときは別に曲は出てこない。心理的に追い詰められてるときは嘘みたいにたくさん出てくる。 で、それを聞いてその友人、「悲しいときに出て来たことはないなあ。僕は悲しみ損!」と言っていた。 だけど、そいつは悲しくもなんともないのに、すごく良い歌を作るんだよ。 なにそれ。最強じゃん。

ああ、こうしてまた、冒頭に言ったことが覆されるんだ。 こんなことばっかり。 まあ、でも、俺は怒ってる音楽がやっぱり好きだな。


YellowStuds 「汚い虹」MV


東京紅葉 / 野狐禅


空きっ腹に酒 / BOOOOM オフィシャルミュージックビデオ


ハンバート ハンバート “ぼくのお日さま” (Official Music Video)